異変

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異変

それから3か月ほど経ったある晩、女はまた消防のサイレンで目が覚めた。 そしてまた、今にも消えてしまいそうな悲痛な女性の声が、自分が手放したはずの写真立てに入った、黒い写真から聞こえてきた。 それは夢なのか現実なのかよく分からなかった。 それに加え、どういうわけか、女は酷く胸が苦しくなり、しまいには堪(こら)え切れず、嗚咽(おえつ)を漏らして泣いていた。 それが何故なのか、女にはさっぱり訳が分からなかった。
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