白い金平糖 ~平行~

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「え~っ!!」 玉川璃子はスマホのカメラロールをスクロールしながら思わず声を上げた。 「キスシーン、撮れてないっ!!何で!?」 「・・・見入っちゃってたんじゃないですか?」 向かい側の席で頬杖をついた新貝一直がつまらなそうに言った。 「そうかなあ?それか、アプリの不調かな?誰か撮ってないですかね!?」 「・・・頼めば何回でもキスしてくれるんじゃない?」 一直は先程よりもふてくされた感じで言う。 ───煽っといてこんなこと言うのもなんだけど、本当にあんなとこであんなキスされるとは・・・。 ビアガーデンでの一次会が終わり、バーに場所を移しての二次会がお開きになった後、二人で目についたチェーン店の居酒屋に入り、タッチパネルで酒とつまみを注文したところだった。 「・・・はぁ。」 璃子は残念そうにため息をつくとスマホをテーブルに置いて両手を膝の上に戻して言う。
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