紫の金平糖 ~対極~

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「目開けていいぞ。」 悠馬に言われ恐る恐る目を開くと、手のひらに青くて平たい物体が置いてあった。 「半分になったハート・・・?」 「こっちは俺の。」 そう言って彼が見せたのは真海の手のひらにあるものと同じ形で色違いの物体だった。 「これって・・・?」 「こうすると、完成。」 そう言って真海の手のひらにある青いハートの片割れに自分が持っている赤いハートの片割れを近づける。 2つはカチッと音を立ててくっつき、いびつなハート型が出来た。 「・・・これって・・・磁石?」 「・・・その、俺の気持ちっていうかさ・・・その、俺達二人とも足りないところあるけど、一緒にいたら、何か形に出来るっていうか・・・あと俺が赤だったらお前は青って感じで、真逆な感じだけど、赤と青の絵の具混ぜたら紫色が出来るだろ、だから、その、新しい何かが出来るっていうか・・・俺、何言ってるんだろ・・・と、とにかく俺はお前と一緒にいたいんだよ。」 俯いたまま言うその頬が赤く染まっている。 「・・・どうしたの、これ?」 「工場の小林のおっちゃんいるだろ?あの人に協力してもらって作った・・・家族以外の女にプレゼントするのも手作りするのも初めてで・・・うまく出来なかったし、どうせならアクセサリーとか香水とか花とかくれよって引くかもしんねえけど・・・一応これも端に穴空いてるから、キーホルダーとかネックレスとか好きなもんに出来るし。」
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