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「・・・。」
「寒っ!って思うだろ・・・磁石とか絵の具とか小学生かよって・・・あーっ俺、もっと女が喜びそうな甘いセリフとか言えねーのかな。」
無言になった真海の前で悠馬は頭を抱えた。
「言えないだろうね。ムサゴリラだもん。」
「お前、まだそれ言うか!?」
顔を上げて抗議すると、真海がまっすぐに見つめてくる。
「でも、私はそこが好きだよ。」
「なっ・・・。」
不意打ちの言葉に胸がキュンとなり思わず手で押さえた悠馬に、真海はにっこり微笑んだ。
「・・・ありがと。」
「お、おお。」
「ありがとう。悠馬。」
「おおお俺の名前っ・・・。」
「嬉しい。あったかい・・・。」
真海は柔らかな表情でハートを握りしめ、その手を頬に当てて震えた声でつぶやく。
「・・・お前、泣いてる?」
「な、泣いてるわけないでしょ!」
「顔見せろよ。」
「やだよ。ほら、花火もうすぐ始まるから前見てれば!」
「今は花火よりお前の顔が見たいんだよ。」
「はあ?何言ってんの!?花火見に来たんでしょ?」
悠馬が真海の顔を両側から掴んで無理矢理上を向かせて目を合わせると、彼女は目を潤ませていた。
「・・・かわいいよ、真海。」
「力ずくなんてずるいよ・・・。」
そのままゆっくり顔が近づき、唇と唇が触れた。
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