白い金平糖 ~平行~

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「・・・んっ・・・。」 璃子が言葉を発する為に唇を離そうとする度、体がさらに強く壁に押し付けられキスが激しくなっていく。 特に後頭部が壁にぐいぐいと押し付けられて痛い。体が熱いのに鳥肌がたっているような気がする。 心臓も血管も脳も想定外の展開にどうにかして対応しようと忙しくて、今自分が嬉しいとか恥ずかしいとか気持ち良いとか思ってるかさえ感じる余裕もない。 荒々しいのに甘い甘いキスに唇から全身がとろけそうになる。 次第に、なんとか自分を保とうとしていた脳が思考停止し体に指示を出すことも放棄したようで動くことも出来なくなった。 璃子が抵抗出来なくなってもしばらくキスは続く。 唇が離れると強く抱きしめられた。二人とも息が荒い。 「・・・はあ、はあ、苦しい。しぶとい奴だなあ。わかってたけど。」 一直がため息をつく。 「・・・はあ、あの、もう一回ちゃんと言ってください。」 まっすぐ彼を見据えて言う。 「何を?」 「『好き。』って。」 「えぇ~やだよ。僕、草食系男子だからそんなこと言えないよぉ。」 わざとらしくナヨナヨして言う。 「どの口が言うか!」 「ははっ。」 「お願いします!恥ずかしい写真見てもいいから!」 「卒アルとプリクラも?」 「もう何でも見てください!」 そう懇願すると一直は再びため息をついて言った。 「仕方ないな。じゃあ、脱いで。」
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