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「ええっ!?いきなり!?」
「違うよ、そのサンダル・・・背が高いのにそんなヒール履いて、俺よりデカくなってるでしょ。」
「え?今さらそこ気にします?」
「うるさい。脱がないなら言わない。」
一直は頬を膨らませて目を逸らす。
「ぬ、脱ぎます!光の速さで!」
璃子が慌ててサンダルを脱ぎ捨てて顔を上げると一直と目が合って、ゆっくりと髪に触れられる。
「璃子のことよしよししていいの俺だけだから。」
「だから、犬じゃない・・・あーもう、犬でもタコでもいいや・・・好きなんだもん・・・。」
「タコって!?」
「なんでもないです・・・。」
しばらく髪を撫でられると、いつもふざけてばかりの一直が真面目な顔になり、胸がドキッとする。
「璃子、好きだよ。俺のこと好きになってくれて、ずっと好きでいてくれてありがとう。長い間違う方向見ててごめん。これからは璃子のことだけ見てる。」
優しい顔で言われ先程とは違いふわりと抱きしめられると、急に実感が湧いてきた。幸せ過ぎて涙が出てきてしまう。
「・・・何、泣いてるの・・・?」
「泣いてなんかないです・・・心の汗ですよ・・・。」
体が離れると涙で濡れた頬に口づけられる。
「そんなかわいい顔するやつはこうしてやる。」
一直の唇は切なげにささやくと、静かに璃子の唇に触れた。
キスが段々熱いものになってくると、璃子もそれに応じる。今度は嬉しい、もっと触れ合いたい、という明確な意志があり、その心の通りに体が動く。
一直の首に回した手にもグッと力が入り、熱くて苦しいのにもっと、もっと、とどこまでも求めてしまうのだった。
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