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「えーっ!」
今城真海は大声を出した。
「葉吉さん、どういうことですかッ!」
一瞬遅れて、隣の席に座っていた北岡悠馬が彼女の数倍大きな声で言いながらガタッと立ち上がる。
狭い会議室にその声と音が響き渡り、真海は思わず耳をふさいだ。
商品企画部雑貨チームに所属する中途入社の同期で同い年でついでに犬猿の仲の二人は、しばらくペアを組んで仕事をするようにと、チームリーダーの葉吉鈴太郎から指示を受けたのだった。
「俺が未熟だからですか!?だったら入社した時みたいに葉吉さんがベア組んでくれたら学ぶ事もたくさんあるんじゃないですか!?」
「私だって北岡じゃなくて葉吉さんがいいです!それか、島田くんか高津さんなら・・・。」
真海は後輩社員の名前を挙げた。
「・・・知ってると思うけど。」
葉吉は話し始めた。
「二人が入社する前、企画部は食品と雑貨に分かれていなかった。会社のオリジナル製品は食品しかなくて、雑貨は他社やクリエイターと契約してラインナップしているもののみで種類も少なかった。でも、雑貨をもっと増やしてほしいというお客様からの要望が増えて、雑貨チームを立ち上げることになり募集をかけた。それで二人が入って、島田と高津さんが入って、アシスタントの彩木さんと玉川さんが入った・・・それで、」
「それは知ってますよ!?けど、何でよりによって俺とこいつが・・・。」
椅子に座り直して聞いていた悠馬がじれったそうに葉吉の話を遮ると、真海は彼を睨み付けながら言った。
「『こいつ』って言わないで!『知ってると思うけど』って前置きがあったんだから、ここからが本題でしょ。ちゃんと聞きなさいよ!ほんっと、何も考えてないんだから。」
「なんだと!?」
葉吉はいつものように睨み合う二人をやれやれといった様子で見つつ、話を再開する。
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