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第二夜 聖なる夜の奇跡
1
――――今年もまたクリスマスがやってくる。
――――あの人のいないクリスマスが……
街中は笑顔で溢れている。もうすぐクリスマスだからかもしれない。
店から聞こえるジングルベルの歌。色とりどりに飾り付けられたツリーが、ショウウィンドウを飾っている。
気がつけばまたヒルズの前まで来ていた。
イルミネーションツリーの前でたたずむ。いるはずのない人を探す。
「あっ、駿ちゃん!」
思わず手を伸ばした。二度と離したくない。
けど振り向いた顔は駿ちゃんではなかった。
「す、すみません」
腕を掴まれた人は、少し不機嫌な顔をして去っていった。
当たり前だよね。突然見知らぬ女に腕を掴まれたのだから。
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