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「琴葉」
後ろから頭をポンと軽く叩かれた。
「またここに来ていたのか」
「悠太……」
さっきの、見られてしまっただろうか。
「……駿ちゃんがいるような気がして」
「兄貴は三年前に亡くなっただろう」
「言わないで!」
思わず大きな声が出てしまった。周りにいる人たちがこちらを振り返る。
「とりあえず歩こう」
この場から離れたくない。でも悠太に腕を引かれて仕方なく歩きだす。
目に入るのはすれ違う恋人たち。
私だって駿ちゃんと腕を組んで歩いていたはずなのに……
ずっと三つ上の駿ちゃんのことが好きだった。
家が近所で、いつも駿ちゃんと悠太と一緒に遊んだ。
幼なじみから想い人に変わったのはいつだっただろうか。
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