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そして、現在へ
*
――そして、十七年が過ぎた。
水嶋珠子はハッと目を覚ます。
久しぶりに夢を見た。遠い昔のこと。
あのとき、私は願った。
おじいちゃんお声が聴きたい、と。
結果的に、その願いは叶った。でも、おじいちゃんだけでない、他の霊の声も聴こえるようになった。
それは、霊感が強かったおじいちゃんの血を受け継いでいるのか、それとも、おじいちゃんの声だけが聴きたいだなんて都合のよすぎる願い、叶えてくれた誰かに、受け入れてもらえなかったのか。あるいは、あの少女の力なのか。
今はもう、なんでもいい。
あのときまで、ずっと霊という存在が怖かった。目に見えない、得体のしれないもの。
でも、あの刑事さんのおかげで、解った。
霊はどこにでもいる、自分たち人間と同じなんだって。伝えたい思いを持って、この世に残っただけなんだって。
だから。
この力を使って、人を救うことさえできれば。生きている人も、亡くなってしまった人も。
あのときの刑事さんのように。
珠子、遅刻するよ!
母の声。そうだ、今日は警察学校着校初日だ。
はーい!
珠子はベッドから飛び起きる。
いよいよ、私、警察官になる。
あの刑事さんみたいな、霊感刑事になってみせる!
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