12月25日

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 クリストファー少年は、枕元に引っかけてあるロザリオを手に取った。ほとんど裸で(はりつけ)にされたキリスト像は、頭には血だらけのいばらの冠をかぶせられ、死にかけていた。マクニール家はカトリックだったから、クリストファーも、幼いころからロザリオと共に成長した。だが、彼にはどうしても理解できなかった。なぜ、イエスがこんな無惨な死に方をし、その姿をさらす必要があったのか。イエスが死ぬことで、人類が救われ、その罪が許される、その意味や理屈がわからなかった。イエスはなぜ逃げなかったのか。弟子たちとのんびり夕食なんか食べている暇があったら、遠くへ逃げればよかったではないか。  そのとき、突然クリスの部屋の窓に、光が差しこんだ。クリスはうつ伏せた顔をそっと上げた。それは、まるで打ちひしがれた少年を慰めにキリストが降りてきたようだった。クリスはベッドから体を起こし、明るい光を部屋にそそぎこんでいる窓へと歩いた。
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