それから・・・

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それから・・・

 誕生日をすっぽかされたことで、さぞクリストファーは(すさ)んだ少年時代を過ごしたと、そう思うかもしれない。だが、そうではなかった。クリスは、自分が生まれてよかったと、“クリスティーン”ではなく“クリストファー”であってよかったと、そう両親に認められなければならなかったのだ。だから、彼はその後もずっと優等生であり続けた。成績は常にトップ、今や完全にスライはクリスの引き立て役だった。  だが、奥ゆかしいクリスには、誕生日とクリスマスを一緒にしないでほしいとは、どうしても言えなかった。だから、毎年、クリスの誕生日は続けたのだった。  そしてクリスは、スライがなれなかった医学生となった。マクニール家は代々医師の家系だった。そして、クリスは医学部を主席で卒業し、数年後、医学博士号を取った。スライはいかなる博士号すら持っていなかった。  その年の誕生日、クリスは父から腕時計をもらった。それは、クリスの祖父がスイスで手に入れた、手巻きの古い時計だった。祖父が亡くなった後は父が身につけていた。父はその時計をクリスに贈ったのだ、スライではなく!
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