エピローグ

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エピローグ

 クリストファー・マクニール氏の半生は、つまり父と母に認められるまで、がむしゃらにがんばることに終始した。そのおかげで、立派な医師となり、プロ並みのピアノ弾きになれたわけだ。だが、クリストファーはもうへとへとだった。自分の価値が高まったとしても、自分の命を大切なものだと自分自身で認めることができるだろうか?あのイエス・キリストでさえ、できなかったことなのに。  12月18日、5番街から手ぶらで帰ってきたクリストファーを、マンションのロビーでコンシェルジュが呼び止めた。 「マクニールさん、お荷物が届いてますよ」  荷物を受け取ると、エレベーターで部屋に上がった。誕生日にもかかわらず、真っ暗な寂しい部屋。電気を点け、コートを脱ぎ、ソファーに座ると、再び包みを手にした。  恋人のジェーンからだった。そして、包みには1218!!!と赤いマーカーで書かれていた。包みを開けると、マフラーが入っていた。そして可愛い誕生日カード。
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