12月8日

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 その日から、クリスはその仔犬のことが頭から離れなくなっていた。もうすぐ誕生日、仔犬を買ってもらおう。毎日、仔犬との生活を夢想した。名前は何にしよう?そうだ、クロエがいい。クリスとクロエ!自分の名前に似ているし、フランスの女の子みたいでおしゃれだ。でも、もしかして男の子?  母には仔犬の話しを繰り返し、できる限りいい子でいた。母を手伝い、窓を磨き、芝を刈った。芝生の庭に犬がいないなんて、この国ではあり得ないことではないか!学校でも常に優秀。少なくとも12月以降は、教師も驚くほどの見事な優等生ぶりだった。  次は祖母を味方に付けなければ。というわけで、毎年プレゼントは絵を描くのだが、今年はせっせと仔犬の絵を描いているのだ。庭で遊ぶ耳と目の周りが茶色い白い仔犬を、12色の色鉛筆で(ただ実際あまり色味のない犬ではあったが)丁寧に描いた。もう2時間以上は画用紙に覆いかぶさっている。名画かどうかはわからないが、少なくとも力作だった。
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