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母はオーブンにココットを入れて、温度をガチャガチャと設定してガスのスイッチを入れた。後は、ほうっておいても美味しいディナーが出来上がる。母は、思い出したように付け加えた。
「そうそう、実はクリスって“クリスティーン”のはずだったの」
「?」
「スライが男の子だったでしょう?だから、パパもママも、2人目はきっと可愛い女の子だって思ってたの。そしたらあなたは男の子だったのね。でも、クリスしか考えてなかったから、パパが“クリストファー”って思いついたの」
「そっか、“クリストファー”でもクリスだからね。おもしろいね」
「さあ、あとはサラダを作らなきゃ。レタスを洗ってくれる?ママはトマトを切るわ」
「うん」
このとき、クリスはただ完璧なプレゼンテーションができる、そう思っただけだった。ほんのちょっぴり心に引っかかる物を感じてはいたが、それが何かはまだわからなかった。
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