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「ところで、海星のやつは?こういう時、片っぽが引っ込むと変身して出てくるんじゃ」
「海星」というのは、ぜくろが死神として冥界で転生する前の所謂「生前」の姿である。
実は、ぜくろと海星も「相互に人格とその姿を入れ替える」術を持っている。
つまり「相互変身能力」を持っていることになるのだが…
俺は、神楽に神妙な面持ちで正直に告げた。
「いや、今回は変身する手前でやつが身を投げたからな。」
「身投げ!?中央線に飛び込んで人身事故でも起こしたのかよ……」
「ばっかいえ!んなもん起こしてたらとっくの昔に死んでるだろ。肉体は残ってる。
本来ならあの時パートナーだったせるなに手伝ってもらう予定だったんだが……」
「研修旅行で暫くいないもんね……」
ぽつり、ととわが呟く。
「研修なら仕方ない、ってことで、とわに頼んだ、ってことか?」
「え、だって僕、せるなお姉ちゃんから待ち合わせするときに電話で聞いたから……」
「まさか、あいつ勘付いていたのか!?」
俺の顔が青白くなる。
「いや、恐らく知らなかっただろう。彼女がとわを選んだのは、恐らく喧嘩の仲介役か何かにしたかったんだろう。」
「なーんだ……で、何で本当の事を今さっき言ったんだ?」
「……言わなければ、と思ったから言った。」
「はぁ?」
インビシブルタクトを握り締めたままのとわは、うつむき加減の表情で何かを考えていた。
「……苦しみから解放してあげることが、使命なんだよね……」
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