02+++破滅、喪失、そして。

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+++++Side "Selna" 「…それで、私のところに相談しにきたの?」 とある自宅近くの喫茶店。 アイスココアのストローを回しながら、私、永久井(とわい)せるなは話しかけた。 「急にうちの近くに訪ねて来るなんて珍しいと思ったけど……」 「ああ…最近、あいつの様子が物凄くおかしいんだ。 なんか俺を避けているように見えて仕方ない…」 「ふーん。さては喧嘩でもしたわね?」 「何でそうなるんだよ!」 「…あっ、ごめん。喧嘩はしてない、わけだ」 「…ああ。でもあいつが、俺を避けているように見えるのは確かだ。」 「何でまた?」 「……知らねー。俺が知るか。」 どこか素っ気無い表情で返答する目の前の人物…羽積修平(はづみしゅうへい)さん。 今日はその親友で、私の一応の知人でもある江口神楽(えぐちかぐら)も同席している。 普段ならとっくに私と修平さんは口喧嘩を始めているはずなのに、今日は何か様子が違う。 そもそも、嫌いな筈の私に彼が相談してくること自体何かがおかしい。 いったい何があったのだろうか。 「そこで、だ。いきなりだがお前にぜくろの代わりに罪人退治してほしい!」 「えええ!?無理よそんなの、大体私の能力死神と違うし!」 「大丈夫、何とかなる!」 「はあ…で、それって緊急かなんか?」 「割と緊急」 「…わかった。何ができるかわからないけど力を貸してあげる。…ん?」 突然、携帯電話の着信が入った。会社からだった。 「ごめん!会社から緊急招集入っちゃったから、私行って来るわね」 「えー。会計どーすんだよ!?」 「取り敢えず私の分はこれで払ってて!」 と、千円札を1枚置いて私は店を飛び出した。 +++++Side "Kagura" …せるなが行ってしまった。…俺一人でどうしろと!? 「まあ、会社じゃーしょうがないよな。あいつも忙しいんだよなあ、なんだかんだで。」 「あー…仕事だしな…社会人は大変だな」 「俺も割と人の事言えないけどな。」 修平がため息をついた。 「あいつも、そうだったな…忙しいって言って飛び出してばかりで」 「あいつって、奴か。」 「ああ…『死んだ』、けどな…」 「は!? 死、んだ…?!」 「正確には、『俺が殺した』ことになるんだろうな。 実はちょっとした衝突が起こって、精神的に俺、参ってたらしくて… 言いたいことと全く逆なことばかりあいつに言って…言葉で人を殺してしまった。」 「……でもあいつ、人じゃなくて死神じゃ……」 「その後あいつは……力を解放して……そのまま……」 「!!」 「なんで本当のことをせるなに言わなかったんだ!?」 「……身体は残っているが……動かない。というか、正確には死んではいない。 精神的に殺したことにはなるが……だから彼女には言えなかった。」 「嘘をついてしまったわけか……」 「そうせざるを得なかったからな。」 俺は意を決して修平に問う。 「本当はどう思ってるんだ?」 彼の表情が変わった。 「……取り戻したい。もう一度。可能ならば……そして、全てを話して謝りたい。 俺は……あいつのパートナーであり、彼女でもある。その責任をとりたいんだ。」 「……あのな、いっとくが俺は能力者じゃないぞ;」 「分かってるさ。けど、必要なんだ。一つだけ方法があることがわかった。」 「方法?」 「それなんだが…」 その『方法』を聞いて俺は、目の前が真っ暗になった。 「は…それって…」 「能力の半減はおそらく避けられないだろう。」 「そんな!」 「もし仮にこの方法を試すとなれば…せるなの持っている魔力を必要とする分、 彼女の能力値の変動も避けることは恐らく不可能だろう。」 「……他に、方法は……」 修平は何も言わず首を横に振る。 「…んなわけねーだろ…」 俺が…俺が能力者なら…!
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