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「おはようございます…」
会社の事務所に入ると、専務が居た。
「ああ、おはようさん。いつも早いなー」
「…はい。…専務も今日、早いですね」
「今日は現場なんやわー。そや、あの人と最近どうなん? 」
「あ、はい。なんとかやれてます…」
私を気遣っているように聞いてるけど、専務の目は
何か面白いことないか?って言うてるようにしか見えんかった。
だから私が何とかやれてるって答えたら、
つまらなそうに事務所を出て行ってしまったわ。
あの人というのは、私のことを引き受けてくれた職人。
社内一の変わり者でもある。
市川徹さんのこと。
仕事はかなり出来るけど、性格に難あり。
だから、他の職人さんに嫌われている。
すぐ怒鳴るし、不機嫌になるから
最初は、私も嫌いだった。
けど…
慣れてくると、色々分かって来たんよね。
うちの会社…仕事の出来る職人さんて
この市川さんだけみたいなんよね。
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