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黄昏時の食堂にて
地獄へ行く前に一目会いたくなった親友の学を誘った健一は、無職になったことを打ち明けない儘でいたから学が呑気に切り出した。
「日曜日のこんな時間に男同士で食事するって可笑しくないか」
「まあ、そうかな・・・」
「お前、自慢するために態々俺と夕食取る気になったんだろう」
「えっ」
「惚けるなよ、お前、すごいじゃないか!」
「えっ、何が?」
「だから惚けるなよ、このこの、憎いよ、この!」
「だ、だから何がだよ」
「俺なあ、見ちゃったんだよ」
「えっ、だから何を?」
「お前、昼間、女の子乗せてドライブしてただろ」
「あっ、ああ・・・」と健一は気づいて、「ああ、あの子ね」
「可愛いよなあ」
「えっ、よく分かったねえ」
「だってさあ、喫茶店でお茶してたらさあ、窓越しに丁度、お前のアルファロメオが信号待ちしてるのが見えたんで助手席見たら、あれっ!今までのと全然違うぞと思ったんで身を乗り出すように覗き込んだら、むっちゃかわええって分かったもんでさあ」
「ああ、そうだったのか・・・」
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