イタチクラブ

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再度屋台の列に並び、イタチカステラを買い直して巡回したが、その後は特にトラブルもなく夕方になった。 イタチクラブの本部に着いたが、建物には入らず外で瑠里に電話を架けてもらう事にした。 万が一タイミング悪く何かに巻き込まれても困るし、用心を重ねて損はない。 リーダーはビルの中から出て来ると思い注目していたが、私達の背後から現れたので、こちらの件は片付いたらしい。 「一旦引き上げだ」 目立たない場所で扉を出し、潜ってから消毒の通路を渡り、いつものようにシャワーをして着替えを済ませ受付に向かった。 指示された部屋でコーヒーを飲みながら待っていると、木村さんが説明の為に入って来た。 「お疲れ様、百合達は終わったら芭流の所に顔出してね」 まだ強盗の全部は捕まっていないが、金目的のグループに加えて秘密を盗む為の奴が合流したきっかけはイタチクラブらしい。 今回の騒ぎ自体仕組まれたモノかもしれないが、イタチクラブは地元の店の相談等を受けるので情報を網羅しているし、強盗と組んでいたなら警察の情報も筒抜けだったのかもしれない。 イザリ屋は依頼を受けた時点ですぐに現場に向かう班と、イタチクラブの調査をする者と別れていた為、私達にも応援要請が入ったようだ。 前々からイタチクラブの噂はあったようで、調べるにはいいチャンスだったらしく、結果代表とその他数名が関与していると分かりイタチの世界のトップに引き渡されたようだ。 「じゃあイタチクラブの本部には、強面のリーダー以外に潜入していた人達が居たって事ですか?」 「ええ、そういうのは基本赤刺繍だからね」 街中で地味な男共に扮した八雲さん達に出会ったので、それ以外のメンバーなのか不明だが、知っても何の得もないので質問はしなかった。 「でも強盗はまだ全部捕まってないですよね?」 「ええ、引き続き金貸し事務所に潜入と巡回はするけど……そろそろアジトが分かりそうだから一網打尽に出来そうだけどね」 お茶をすする仕草は、盗賊のお頭の貫禄があるが、木村さんも又少しふっくらしたような気がする。 予想ではキムと啄は監視役のメンバーだと勝手に思っていたが、どちらの体型も不向きそうで間違っていたのかもと疑問も湧いてくる。 「そういう事で百合達は今から休みになるし、王子達も預かってるから芭流の所でゆっくりして来て」 「あ、キセロは里に返してもいいですよ、多分羽……いや胴体伸ばしたいだろうし」 「そうだね、イナリもプチ帰省してもらっていいですよ」 イザリ屋は特殊なバケモ……いや、動物達を捕獲が出来る者もいるので、王子達を帰すのが大丈夫なのも承知でこういう頼み事も出来る。
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