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歩兎さん達が帰ると預けた和菓子を持ち走って家に戻り、勢いよくドアを開けてリビングに入った。
餌はたっぷりと準備していたが、長い時間イナリ達にお留守番を任せる事になりずっと気になっていたからだ。
ところが、王子達は自分達のクッションの上で眠っており、あくびをしてから寄って来て急なトラブルにも動じていないようだ。
すぐに沢山の餌を新しい容器に入れるとガツガツと食べていたが、いつもならこの勢いで全て食べきるのに、古い容器には若干餌が残っている。
「もしかして長引くと予想してあえて残してたとか?」
「賢すぎる!しかも二人揃ってだよ?さすがは忍者探偵Xの相棒じゃ、今日は祝いじゃ酒をもてーい」
「飲めねーだろ!でも今日はドラム缶も働いて戻って来るし、夜は出前にしてもいいかも」
本当ならこのまま爆眠したいが、散歩に行く準備をし、帰りはコンビニで王子達の好物を買って褒め称えた。
それからベッドに潜ったが、ドタバタと騒がしい音で目が覚めると、土産を沢山手にした母がテーブルに箱を積みお茶の準備をしていた。
「さぁ皆集合よ、我が家一番の働き手のマミーが、高級和菓子を手に戻りましたよぉ~」
瑠里の部屋には王子達を連れて行き、強引に起こされ不服そうな顔をしていたが、母にとっては大いに自慢したい時間らしい。
喜びの舞を披露しながらバイトの様子を話していたが、晩はピザを注文せよと指示をし箱を開けてニンマリとしていた。
「お昼も豪華な弁当頂いてね、手伝うつもりだったのに逆に得した気分でさ」
「まさかバイト代貰ったんじゃないだろうね?」
「うふふ、そこは今後も客で行きたいし断ったわよぉ、マミーは偉いでしょう?」
引きつり笑いをしながら拍手で褒めていたが、バイト代は貰ってなくても高級菓子の土産でチャラになってる気がする。
今回ばかりは母も遠慮したらしいが、娘さんと食べて下さいと歩兎さん達にも言われ、頂く事にしたらしい。
王子達を抱っこし喜びの舞第二弾が始まったが、先に風呂に入って来いと妹に窘められシャワールームに向かっていた。
「でも今回は皆頑張ったもんね、イナリ達も偉かったし、珍しくドラム缶も機転を利かせてさ」
「私らも仕事……といってもお婆ちゃん達と晩御飯食べて会話した感覚だけど」
その日は自慢する母や王子達を褒めちぎり、時代劇で決め台詞のシーンを真似する母達にも拍手をして持ち上げておいた。
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