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概ね婆さんから聞いていたのですんなり入り、襲われるのは金貸しの会社だが、秘密を預かっているので金以外の狙いはそっちらしい。
イタチの世界には小さな金貸しが沢山あり、それぞれが秘密を預かっているので何処が襲撃されるか予想しにくい。
見回りを強化したり対策をしていても、同時に何か所か襲われてしまうと、対応が遅れ被害も大きくなる。
敵も数を増やしているらしく、金貸しが潰れると困る人も沢山居るので、婆さんからの相談を交渉し正式に依頼が入ったようだ。
赤刺繍も事務員として疑わしい場所に潜入しているが、私達も何処かの事務所に新人として入るようだ。
イタチの世界はこちらでいう市役所と農協を足したような『イタチクラブ』という組織があり、街の様子やお店等を回り困り事の相談も受けている。
その相談員としてリーダー達もヘルプで入っているらしいが、強面には不向きな任務だと思えた。
「顔みたら店の人が遠慮しそうだよね」
「でも襲撃に遭遇したらすぐに対処出来るし、目星が定かでない以上網を張るしかないのよ」
「姉は別として……私はイタチクラブ向きな気がしますが大丈夫でしょうか」
二人一組の行動の方が安心だし、まずは事務所へと引っかかる言い方だったが、将来事務職希望の私は少し興味が湧いていた。
今夜は事務所の上で仮眠を取り朝になったら下に降りる計画だが、夜に侵入される恐れもあるので、半分起きてる感じでと木村さんは無理な要求を笑顔で出してくる。
王子達を預け扉を潜ると、雑居ビルの路地裏に出てこちらと変わらない雰囲気だがレトロな感じもあり、現在というよりは何十年か前という光景だった。
指示されたビルの四階に階段で上がり、侵入経路等をチェックしドアを開けると、ソファに毛布が畳んでありそこで仮眠するようだ。
事務所は三階だがもし急に強盗に来られたら怖いので、しっかりと鍵をかけリュックを枕にして目を閉じた。
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