イタチクラブ

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「何でイタチクラブの奴が……お前らが攻撃してくる……」 「ん?どういう意味?そこんとこ詳しく話して貰おうか」 「でも私ら拷問担当じゃないし、ボスって簡単に口を割らないから、死神共に任せたらいいよぉ」 確かに話をしてくれそうにないが、預けた本人が来るまで手ぐすね引いて待つのも時間が無駄な気がする。 「そうだ、外のチェックしておかないと」 「心配ご無用、メールでリーダー達にヘルプ要請したし死神の誰かがもうすぐ来るであろう」 とりあえずイザリ屋仕様のベルトで強盗達を拘束し、力人(ちからびと)……いや、妹が一か所に集めていてその間に事務所の人に声をかけた。 「恐らくこれで全員だと思うんですが、犯人は四人で間違いないですか?他にも誰か人質にされたりしてませんか?」 「いっ、いえっ、それで全員です。他に捕まってる従業員はいません」 イタチカステラの話をしていた従業員の人が答えてくれたが、呆気にとられた表情をしていた。 責任者の人もこちらに歩いてきたが、イタチクラブはこんなに凄い人達もいるんだと驚きを隠せないようだった。 ガタンとドアが開くとリーダーをはじめ数人の男性が入って来たが、見た事のない人が多いので下を向き、開けて貰ったイタチカステラに手を伸ばした。 瑠里はリーダーに先程の報告を済ませ、お代はあいつらが払いますんでと隣で摘まんでいる。 犯人達が連れ出された所で、事務員さんがコーヒーを淹れてくれると責任者が正面に座り小声で話し掛けてきた。 「実は……預かった内容というのは……」 中身を詳しく教えて貰えなかったが、どうやらイタチクラブの責任者に関してらしく預けた者も同じ職場の者のようだ。 「本来なら絶対にお話ししないんですが、貴女方には伝えた方が良さそうな気がして……」 「御意、即刻強面の上司に伝えておきますが、内密に事を運ぶのでご安心を……」 瑠里は追加でカステラを二個取ってから出口に向かったが、私はリーダー達が戻って来るまでここで待機することにした。 「ホント美味しいですねコレ、小豆が一番のお気に入りですが他のもすんごく抜群なのは材料にこだわってるからなんでしょうね」 「ここから近い場所にイタチカステラの屋台出てるんで、出来たても食べれますよ、一番売れてる店もありますし」 「へぇぇ、良い事教えて貰いました、先輩達に買ってもらおう」 責任者もデスクについてる従業員も少し安堵したように笑みが見えたが、イタチクラブに関しての秘密という内容が頭の隅に残っていた。
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