イタチクラブ

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イナリ達の時も捕獲出来る者を待つ予定だったし、特殊エリアもそういう班や機材が何とか……と言っていたので部署か兼任者がいると思われる。 説明を終え木村さんが部屋を出ると、リーダーはトレーニングしてから帰ると去って行った。 「芭流(ばる)爺ケーキ用意してくれてたら嬉しいな」 瑠里は仕事が終わり頭の中はスイーツモードだと思うが、あそこは田舎風景で素朴な子供達もいて親戚宅に行く感じで落ち着く。 まーちゃんとチラシで花瓶を作ったり、浮きの色付けも楽しかったので、ワクワクしながら木村さんの準備を待っていた。 「お待たせ、リュックは準備したから着替え済ませて来て」 イザリ屋仕様のカジュアルな服に着替えると、急いで元の部屋に戻りリュックと手土産を預かって地下へ向かった。 「百合が好きなグミと瑠里には筒に入ったポテチも入れてるから」 「有難うございます」 パネル操作をしてもらい扉を潜ると、何度か見た光景だが、日が落ちる前の風景も情緒があり空を見上げていた。 「何をモタモタしておる、豪華スイーツは目前だぞ、こんな時に乙女な部分出してんじゃないよ」 「あのね、ちょっとはお互いに無事に帰れた事を有難く思う時間があってもいいでしょ」 歩くスピードを緩めないなりきり忍者は、既にインターフォンを押し話を進めていた。 少しするとまーちゃんが手を振りながら出迎えてくれ、ハグをして中に入ったが囲炉裏の周りには誰もおらずキョロキョロとしていた。 「あれ、孫達は?」 「ああ、息子が会いに来たからそのまま出かけてるんだよ、今日はホテルに泊まる」 「えっ、私達お邪魔してない?」 遊園地に行ってホテルの温泉はご褒美らしく、そんな贅沢なプレゼントを親から貰える息子は羨ましかった。 「じゃあ芭流は?」 「――多分キャバクラだと思う」 少し普段の生活が戻ったと思うと、すぐに夜の街へ繰り出すじじいに呆れ、壁に貼り付けられていた時の映像を見せてやりたかった。 瑠里にトップを少しの間変わってくれと言っていた事や、嫁を探そうと檻から逃げ出そうとし、マミーに捕まった事をフォローするように話しておいた。 まーちゃんが運んでくれた皿は三段の小さなラックに積まれていて、スポンジケーキにジャムが挟んである物や、シュークリームやプチクレープ等が可愛く飾ってありイギリスのアフターヌーンティみたいだ。 次に紅茶が運ばれたが、囲炉裏で洋風のスイーツを頂くのも新鮮な感じだしマナーもとやかく言われないので、純粋に食べるのを楽しめて嬉しい。 まーちゃんは捕まった時の事を話してくれていたが、特殊班の担当のエリア出身の事は特に誰かに話す事もなく、自分でも意識していなかったらしい。 ただ式場で周りの者が殺されたり人質に取られたと知った以上、空間から出る為に親に助けを求めたり、敵の強さでイザリ屋に……と思った時点で私達の顔が浮かんだようだ。
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