洒落たレモンケーキ

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今回上手く交しても、ずっと『空間に一体何があるの』と死神の性格上しつこく聞いてくる。 それにワイルドチームの九黎(きゅうれい)は『誰かが呼んでいる』と言っているので断ったら刺されそうだし、手ぶらで中に入っても何方かに冥途に送られそうだ。 空間の趣味が怖すぎるという理由と天秤にかけても、一瞬笑われるのと比べたら諦める方が利口だと言える。 要はこの仕事を無事に終え、帰ったら出前か焼肉を食べに行くという目標を達成するには、多少の犠牲は払うしかない。 「分かりました、中に入ってもいいですが、絶対に無礼な態度や行動は慎んでくだ……」 「――待って!俺も入れて!」 首に包帯を巻いてる唯護さんと、何故か今更のように瑠里の顔が見えたと思いきや、社長まで仕事着で登場している。 「ワシは代表として入る資格があるだろう?」 「私だって、姉を心配して死ぬ覚悟でここまで来た」 人が死にかけた時には居なかったのに、このタイミング登場するキツネ二匹には苛立ちを覚え、ギロリと睨みを利かせる。 「遠足じゃねーんだよ!こっちはさっき死にかけた、この意味分かるな?お前らには後で話があるからそこで正座してろや!」 妖怪班の唯護さんはこのエリアのプロなので、万が一先生方がご乱心された場合のストッパーという僅かな希望もある。 なので親指で中に向けて指さすアメリカンスタイルでポーズを取ると、怪我してるにも関わらず引きつった顔で小走りでやって来た。 キツネ二匹は幽霊でも見たような表情でその場で正座し、下を向いているので計四人で元の場所に戻る。 「先生方……大変お待たせして申し訳ありません!」 軍隊のように大きな声でお詫びをすると、残りのオムレットを食べていたのか、大したお怒りは買ってなかった。 「ちょっとしたブレイクタイムにもなったし、新しいお供えを確約するなんて腕を上げたね」 「銀山の、知り合いも連れて来たみたいだよ」 仕事が片付いてないので交流等は後のようだが、安堵の溜息が出ると、隣の男性達は見た事もない表情でその場に立ち尽くしていた。 「ここは空間なのか?地獄の……」 「美しい屏風でしょ?今にも出て来そうなタッチだし、こんな高そうな品は見た事がないですよ」 九黎(きゅうれい)の言葉を遮るようにコメントすると、続きは声に出す事なく硬い表情で頷いていた。 「あの屏風の化け物……確かあの虎や大蛇は特殊エリアでも超……」 「言い方気をつけろや!大蛇の爪が鋭くて何でも引き裂けそうだけど、棘のある視線からして若かりし頃かもしれない」 一番ここから出たいのは私だが、先生方の機嫌を損ねたくないので、必死に印象のいいフレーズを頭に巡らせていた。
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