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「ぎゃあぁぁぁ――っ!」
誰の悲鳴か分からないが、少なくとも姉妹と男性のは入っていると思われる。
一振りで男性は跡形もなく灰となり消え、助走をつけるように屏風に戻る姿を一同呆然として見ていた。
「やっぱ出てきた……リアルすぎだと思ったんだよね」
どういう仕組みかは分からないが、さすが妖怪エリアの先生方だけあって、凄いとしか言いようがない。
「どえらいコラボを見て……じじいも心臓が止まるかと思ったが、百合さん又カラコン変えたんかの?」
「えっ、眼の色おかしいんですか」
今の場面でコラボと言えば敵が灰になるという事だけだが、あの虎が気になってそれどころではない。
瑠里も穴が開くほど屏風を見ているし、全員が引きつった顔をしているにも関わらず、楽しそうな笑い声が頭の奥から聞こえてくる。
「一人しか居ないからすぐに終わったが、いい動きしてたね~」
「前足を振り下ろすで良かったのかい?噛みつくモーションの方が査定が上がりそうな気がしたんだが」
「いや殺しじゃなくて成敗だろ?食べたと勘違いされてさ、マイナスポイントがついたらどーすんだい」
基本ボーナスはないと伝えたが、先生方は私を気遣って虎経由でアピールしてくれたようだが、こちらにいる全員が引いている。
九黎は少し経つと正気に戻ったのか、見事だと拍手をしイザリ屋がこれ程とは思ってなかったと感心していた。
女は泣き崩れていたが男を心配してというより、次は自分なのかと疑心暗鬼になってるようだ。
こんな化け物がいるなんて聞いてないと叫び出し、先生方への口の利き方は指摘したが、こちらだって屏風の怪物については驚いている。
お化けが出そうと思っていても通常は勘違いで終わるが、本当に居たら悲鳴だけでは済まない。
せめて本人だけ気づかず、視聴者にはお化けの姿が見えるホラーの映画のように誤魔化して欲しいが、全員が虎らしき魔物を見ている。
屏風のリアル過ぎる絵が、まさか出てこないよねと恐怖に思っていたところ、本当に出て且つ男性を瞬時に執行した。
かなり大きかったし、周りに炎なのかオーラか何かをまとい、背後にはまだ登場はしていないが大蛇だっている。
先生方が出てくる姿ですらシルエット等で誤魔化してあるのに、こんなダイレクトに姿が見えるとと怖くて仕方がない。
あれは誰で、先生方の友達またはペットか質問をしたいが、今後関わるのは恐らく私だと思うと吐き気がしそうになった。
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