洒落たレモンケーキ

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木村さんが部屋に入って来ると唯護さんがいるので少し驚いた表情だったが、瑠里が簡潔に事情を説明すると苦笑いしていた。 「せっかくの姉妹の休みだし、チャチャッと済ませようか。唯護はどうする?」 本来なら品を渡して帰る予定だったが、私が来たことで空間に入れる事になり、大きく頷いている。 地獄絵巻を見たのに、ちょっと嬉しそうな表情で返事をした彼には少し引き気味だが、恐らくこれが妖怪班の人達なんだろう。 心月だったとしても笠谷の二人だったとしても、同じ返事をするとしか思えない。 瑠里は興味本位といった感じだが、唯一気持ちを分かってくれる存在なので、道連れにすると決めている。 エレベーターに乗った時点でいつも訓練するとは場所が変わると知ったが、この職場にはまだ足を踏み入れてないエリアが沢山ある。 扉が開いた瞬間、特殊班の職場に行った時の独特な空気に包まれ思わず身震いしたが、唯護さんは薄暗いのに自宅のようにリラックスしている。 「何かこの空気感落ち着く……女性はお化けが出そうって怖がるんだろうけど」 「うん、ここでテレビゲームに誘われても、理由をつけて断ると思う」 先頭を盗賊のお頭……いや、木村さんが誘導し、次になりきり忍者なので、私達は一番後ろだがたまに後ろを振り返っている。 もし女性の人影やお化けまがいが見えたら、すぐに隣のプロに相談し、何とかして欲しいという願望もあった。 不気味な通路の突き当りは、いつも訓練で使う広めな場所に似ており、左右にゆっくりと開いた扉が地獄の一丁目感を醸し出していた。 「木村さん……何かこの部屋不気味じゃないですか?ちょっと入るの怖いんですけど」 「あまり使われないからね、ウチの仕事とは基本関係ないし、一部の者しか用事もないから。でも掃除等は行き届いてるから大丈夫」 曖昧な言葉を言いつつ背中を押され、電気がつくと訓練してる場所と大して変わらないと思えそうだが、違和感ありまくりだった。 「壁おかしくないです?何か打ちっぱなしのコンクリートのような」 「ああ、ここはこれでいいの。セメントの方が色々と通さないし、空間を出す場所だから外観は関係ないでしょ?」 言われてみるとそうかもしれないが、色々通さないって『何を?!』と聞きたいのをグッと堪えた。
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