叶えられなかった夢

この六年間の間、ずっとエトワールのメンバーからの連絡を避け、アイドルの彼らから目をそらし続けていた。

今まではそれでも良かったが、仕事を任された以上はもう避けるわけにもいかない。

（覚悟を決めるしかないか……）

重々しくため息をついた聡は、空になったコンビニ弁当を机の端によける。そして机の上にタブレットを置いて、六年前のオーディション最終回の動画を再生した。

そこにはまだ高校生だった聡と、まだ業界慣れしていないエトワールのメンバーたち、それから聡と共に脱落した人たちがうつっていて、聡はそれをうつろな目で見つめ続ける。

番組の最後にはデビューするメンバーが発表されて、その周りを選ばれなかった人たちが取り囲んで祝福している姿があった。

中には泣いているメンバーもいたが、聡は涙をこらえながらも笑顔を浮かべて拍手を送っている。

がんばれよ、よかったな、おめでとう。
今まで応援ありがとうございました。

聡は、選ばれたメンバーたちへの祝福の言葉やオーディションの期間応援してくれた視聴者やスタッフへの感謝の言葉は伝えても、選ばれなくて悔しいだとか自分も一緒にデビューしたかったとは一言も口にしなかった。

人によっては、最終回の聡は潔かった、とうつったかもしれない。だが……。