3人が本棚に入れています
本棚に追加
「先ほど対応させていただいた担当者からうかがいましたが、お一人での挙式をご希望されているということでよろしいでしょうか?」
「あ、はい。そうです」
和花は早妃の顔を見ず、カウンセリングシートに視線を落としたまま答えた。三十一歳の早妃より年齢は二十歳近く上なのに、どこか頼りない印象を受ける。
「申し訳ございませんが、私どものホテルではお一人での挙式は受け付けておりませんので、お客様のご要望にはお応えしかねます」
早妃は和花の顔を見てきっぱりと言い切った。こういうときは反論の余地を残してはいけない。
「でも、一人で結婚式ができる式場もありますよね」
そういったサービスがあることは、もちろん早妃も知っている。「ソロウェディング」などといって、女性が一人でウェディングドレスを着て記念写真を撮ったり、友人たちを招いてパーティーをしたりするのだ。
「はい、存じております。ですが、私どものホテルではそのようなプランがございませんので、お受けできません」
最初のコメントを投稿しよう!