たとえ星になっても、君を覚えてるよ。

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「ナーチ、死んじゃヤダよ!逝かないで!」 私の愛犬、ナーチ。 私が2歳の頃にやってきた。 毎日のように遊んで、かけっこして。 昔はナーチのことを抱きかかえられなかったけど、今は軽々と抱きかかえられる。 私のことを、ずっとずっと見守ってくれていた。 その15年間一緒にいたナーチは、寿命を迎えようとしている。 涙が、溢れてくる。 悲しい、寂しい。 ナーチが死んでしまうのは、ひとりになるのは、嫌だ。 逝かないでって、私はそう願う。 ナーチは弱弱しい優しい目して、私のことを見ている。 そんな最後みたいな、悲しい目をしないでよ、もっと悲しくなっちゃうよ。 私の目には涙が溢れて、ナーチの姿もぼやけてしまう。 一緒にかけっこした日、一緒に散歩した日、どれもなにものにも代えがたい、大切な思い出。 私は、ナーチのことが、大好きだ。 犬の寿命は、私から見たら恐ろしいほどに短い。 いつかこんな日が来るのは、分かってたはずだったのに……。 本当にその時が来たら、やっぱり悲しくなってしまう。 もうナーチと一緒に居られないと思うと、寂しい。 まだ感じる、ナーチのぬくもり。 それが、消えようとしているのが分かる。 ぽたぽたと零れ落ちる、ナーチへの思い。 この涙は、大切なナーチへの思いそのもの。 今の私の顔は、涙でぐしょぐしょ、ぐしゃぐしゃ。 最後に見る私の顔がこんなの、嫌かなぁ。 そう思っても、涙を止めることはできない。 その時── 「わ、ん……わん」(『泣か、ないで』) ナーチの声が、聞こえた。 泣かないでって、言ってる気がした。 そう、だよね。 こんな顔ばっかり見せてたら、ナーチに笑われちゃうよね。 私、ナーチのこと好きだから、お願い聞いてあげなくちゃ。 私、ナーチのこと好きだから、笑顔で弔ってあげなくちゃ。 ナーチのこと、明日も、明後日も、来世も、ずっと、ずぅーっと、覚えてる。 私、ナーチのこと、ずっと、ずぅーっと、忘れないよ。 だから、ね? 私は、精一杯の笑顔をつくって、心の中で唱える。 大好きだよ、ナーチ。 ありがとう、またいつか──
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