(青木 千春)

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「宮城さんかぁ……宮城さんなんだね……」 宮城さんについて私が知っている情報とすれば女子テニス部であることと、名前が晃 (あきら)っていう男の子っぽい名前ってことくらいで、話したことも、同じクラスになったこともない。共通の友人がいるっていうような接点もない 「同級生……」 私にとって宮城さんはそれくらいの存在。 街で偶然目にとまっても、自分から声をかけることは絶対にない。嫌いとかではないから、向こうから声を掛けてくれたら普通に話すけど。 「好きでも嫌いでもない人間が、私の大好きな庭野君と付き合うことになった……」 怒る、笑う、喜ぶ、悲しむ、蔑む…… 数ある感情の中からこの時に選ぶべき感情は どれ? いったいどれが正解なのだろう? 模範解答かあるなら今すぐにでも教えてください。考えても考えても私には分かりません。 「宮城さんと私の差って……?」 宮城さんは常時、眼鏡をかけているし、鼻はつぶれていて、目は笑うと無くなるくらい細め。けなしているわけではないけど、お世辞にもかわいいとは言えない。宮城さんよりかは私の方がかわいいと思う 正直な話。 「話が面白いとか、気が利くとか?」 外見的要因より、内面的要因で負けるのはもっと悔しい。何故なら、外見はどうしようもないけど、内面は自分の頑張りや意識、積極性でどうにかなる可能性があったから。 「彼女のことは分からないけど庭野くんと釣り合う女子は他にいたはず。例えば、麻由美とか明日香とか三島さんとか、宮城さんより可愛い子は他にもたくさんいる」 その中でも麻由美は、特段可愛いけど。モデルさんみたいで、女子の私からしても可愛いと思う。庭野くんの相手が麻由美なら許せたのかって問われても、「Yes……」と即答できる自信はない。 「麻由美は、飽きっぽいところあるから二股とか平気でしそう。可愛いから男の子の方から寄ってくるってこともあるんだろうけど」 『人の悪口ばかり言ってて楽しい?』 『あなたはそれで満足なの?』 『人のいいところは目につかないの?』 分かっているつもり…… そんなことしてもなんの解決にもならないことも嫌われるだけだってことも分かっている。でもしょうがないじゃない、女子ってそういう生き物だから。
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