第三章 塩の山

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第三章 塩の山

 ゴ・クウ達は、キンギン鉱山の近くに差し掛かった。  オアシス都市サウバで、シャ・カ執政官が用意してくれた、代わりの車を受け取って、サウバを後にした。  ただ、代わりの車っていうのが、時代遅れの、貨物車が一台。  一番必要な鉄馬は、用意されていなかった。  鉄馬。  所謂、オートバイ。  鉄の心臓で動く、鉄の馬。  本来なら、鉄馬が3台用意されるはずなのだった。しかし、何かの手違いで古いタイプの貨物車が一台しか……。  唯一助かったのが、貨物車が汎用性の高い、大型貨物車だった事だ。 その貨物車に、ゴ・クウ、ノウ、ジョウ、クム。そして、ジャイと、その手下である、トウが乗り込んでいた。  貨物車を、操縦するのはノウ、助手席には、ジョウが乗り込んでいる。  貨物車の荷台には、幌が掛けてあり、ゴ・クウとクム、ジャイ、トウが、座り心地の悪い床に座り、いろいろ話し込んでいた。  主に、ゴ・クウとジャイ・アンフツ、ハン・クムとトウが何やら話し込んでいる。  ゴ・クウとジャイ・アンフツは、これから向かう、キンギン鉱山の見取り図を広げ、隠密調査員とのやり取りやら、ゴルジル商会との商売のやり方、そんな事を話していた。  ジャイ・アンフツは、西部治安軍を退役したあと、仲間を集めて、アンフツ商会と言う、商社を立ち上げた。  最初は、軍隊時代のコネを生かして、軍事物資だけを取り扱っていたが、そのうち生活物資全般から、工業製品まで扱うようになった。  ただ、塩だけは専売制のため、小売はともかく、元売りには食い込めないでいた。  元売りには、免許がいる。  海沿いの地方へ行けば、個人の塩田で塩の生産をしている所もあるが、大口販売となると、国家免許が必要だ。  ゴ・クウは、シャ・カ執政官の命令で、キンギン鉱山を調べようとしている。つまり、此処でゴ・クウに恩なり貸しなり作っておけば、執政官から塩の免許の、口添えが頂ける。  かもしれない。  そう、取らぬ狸の皮算用を、ぶっこいている、ジャイ・アンフツなのである。  ゴ・クウもゴ・クウで、そんな事は織り込み済み。と、ばかりにジャイが食いつくような事ばかり、話を振ってくる。  実際、キンギン鉱山の隠密調査の話しは本当で、キンギン鉱山で何か異常な事が起きているのも確かな事なのだ。  但し、キンギン鉱山の調査報告書をゴ・クウが受け取る。と言う司令は、受けていないのだ。  ゴ・クウの任務は、ハン・クムをガロン研究所に届ける事。  それだけなのだ。  だが、ゴ・クウには、特別捜査権が与えられていた。  特殊機動隊の班長クラスには、独自の捜査権が与えられている。  その権力は、広範囲に及ぶ。 ゴ・クウがその気になれば、国際的な犯罪組織さえ、検挙する事ができる。  それは兎も角、ゴ・クウはジャイ・アンフツを巻き込んで、キンギン鉱山の暗部を暴こうとしているのだ。  コンコン! イキナリ車体前方の小窓が、ノックされた。運転席側の小窓が開いて、ジョウが顔を覗かせた。 「兄貴、もうすぐナッタ族との、合流ポイントです。」 「分かった!」 ジョウの報告に、ゴ・クウはそう返事をした。 「ナッタ族と、仕事か?大丈夫か?アイツ等で?」 ジャイが、心許ない声を出した。 「砂漠で仕事をするなら、ナッタを雇わないと……。」  ゴ・クウは、仕様がないと言った感じで、ジャイを見る。  ナッタ族は、砂漠を生活の拠点にする、遊牧民である。 世界が4つに分割される前から、何千年も砂漠に住み、砂漠を支配する存在になっている。  実際、これから向かうキンギン鉱山にも、ナッタ族は雇われている。  主に警備活動や、生活用品の補充などの仕事に就いている。 砂漠で事業を行うなら、ナッタ族を雇わないと、仕事自体が出来ない。そう言われるくらいである。  ナッタ族を雇わないと、いろいろ嫌がらせをして来るのである。  ゴ・クウが、西部治安軍で働いていたときも、ナッタ族が雇われていた。  主に傭兵として、従軍していた。  遊牧民であるナッタ族は、騎馬民族の流れを汲む、勇ましい民ではあるが、近代戦は不得手らしく、彼らの戦いは、ラクダに乗っての、銃撃戦が関の山である。  今の戦争の定石は、小型の破壊兵器の、大規模投入である。  一昔前の人海戦術による、大規模な肉弾戦など、話にならないのである。  故にナッタ族は、傭兵として雇い、主に雑用係として、働いてもらうのである。 「で、ナッタ族を何人雇ったんだ?」 ジャイが、ゴ・クウを見る。 「十人。俺たちの護衛役だ。」  護衛役と言うより、他のナッタ族に邪魔をさせない様に、割符としての役割である。  「それは本当なの、クムちゃん?」 イキナリ、貨物車の荷台の反対側に座っていたトウが、素っ頓狂な声を上げた。ゴ・クウとジャイが、トウとクムに注目する。 「ああ、本当じゃ。あと一年、今の仕事を頑張れば。お前様は、大金持ちじゃ。」  クムが、トウを占っていたらしい。  トウは今年になって、ジャイが雇った若者である。今年で21になる。   割と、人当たりの良い若者である。 「始まったな……。」 ゴ・クウが、呟く。 「始まったって、何が?」 ジャイが、ゴ・クウに聞く。 「いやね……。」  ゴ・クウが、クムの占について語りだす。 ハン・クムが占をする時は、主に3つの理由がある。  一つは、商売である。  クムはゴ・クウ達に出逢うまで、占いで生計を立てていた。  二つ目には、仲間を集めて、目的を成就するため。人が集まれば、それだけ願いが叶いやすくなる。  ただ、人が多くなれば、それだけ思惑が入り乱れる為、指針が必要になり、クムの占いが有用になる。  そして、3つ目の理由。  相手を煙に巻く事である。  多分、トウがクムに、しつこく言い寄ったのだろう。  相手を占って、勝手に夢を見させる。  その隙に、クム自身はオサラバする、と言う算段だ。 「おい、ちょっと待てよ。」 話を聞いていたジャイが、怪訝そうな顔つきで、 「じゃあ、あの譲ちゃんの占いは、単なる方便なのか?」 と、聞いてきた。  ゴ・クウは首を振り、 「いやいや、占い自体は、よく当たるんだ。ただ、補足説明が無いと、人は得てして、間違った道に進み易い。」 そう言って、ニッと笑った。  貨物車の荷台で、アアダコウダ言っていたら、車がゆっくりと停車した。 「兄貴、ナッタ族です。」 今度はゴ・ノウが、小窓から顔を覗かせて、ゴ・クウに告げた。  ゴ・クウとジャイ・アンフツが荷台から降りて、黒いターバンと灰色のダボシャツ、ドカンのパンツ。らしいと言えば、らしい格好の一団が、小さいオアシスの前に屯っていた。  ゴ・クウとジャイが、其の一団にゆっくりと歩み寄った。  するとその一団が、サッと左右に別れ、一人だけ白いターバンに、白いマントを羽織った、背の低い老人が現れた。 「やぁ!ガル・ナン老師。」 ゴ・クウはありったけの笑顔を、その老人に投げかけた。  そして、両手を前に差し出して、左手を胸の前に置いた。ナッタ族の挨拶である。目上のものに対する、礼でもある。 ガル・ナンと呼ばれたその老人は、 「クウか?ナッタの精鋭十人、用意したぞ。さぁ、連れて行くがいい。」 そして、傍らにいた体格の良い男に、 「この男は、ダツ。彼が隊長だ。」 そう言いながら、 「約束の半金、頂こうか?」 ガル・ナンは、約束の報酬の半金を、要求した。  ゴ・クウは、腰に下げていた革袋を差し出して、 「約束の半金、西部金五十パルです。お確かめを。」 そう言って、革袋を手渡した。  ガル・ナンは、中身の確認もせずその革袋を懐にしまうと、 「では、クウ。ダツ、しっかり働けよ!」 そう言って、ラクダに乗りこみ、オアシスを後にした。  ゴ・クウ達一行は、キンギン鉱山に到着した。  先ずは、鉱山事務所に乗り込んで、商談を装い、内情観察である。  ゴ・クウとジャイは塩商人と偽って、ゴルジル兄弟商会の門を叩いた。 「この申請書に、必要事項の記入をお願いします。」 対応に出た受付嬢に、分厚いファイルを手渡された。  ジャイとゴ・クウが、そいつを黙って受け取り、案内された応接室で、カリカリと申請書に書き込んでいる。  「分かってはいたが、コイツは嫌がらせ以外の何者でもねえな。」 申請書に記入しながら、ジャイがブツブツと言う。 「たかだか塩を買うのに、こんなに記入するものかよ!」 「まぁ、マーケットで食卓塩を買うのとは、わけが違うがね。」  ジャイの前に座ったゴ・クウが、茶々を入れる。 「まぁ、今回の塩の買付は、シャ・カの旦那に頼んでの、特別購入だから。取り敢えず、5000!」 「良くシャ・カの旦那が、こんな要求を承諾してくれたのよな?」 「まぁ、南部との共同作戦だ。購入した5000で、時間を稼ぐ。その隙に、ノウとジョウが、隠密調査員と連絡を取る手筈になっている。」 ゴ・クウは、愉快そうに口を歪めた。 「ちょっと待てよ、此れは西部の単独調査じゃないのか?」 ジャイが、驚いて聞く。 「表向きはそうさ、だが、細かいやり取りは、常に交わされている。」 「ゴ・クウ、お前ぇ。何時から情報二課に居る?」  ジャイの表情が険しい。  西部治安軍情報二課。いわゆるスパイ屋である。  敵はおろか、味方からも毛嫌いされる。難儀な部署である。 「安心しろ、二課なのはジョウだけだよ。しかも今度の仕事は、シャ・カの旦那が発起人だ。そして、現場での采配は、俺に一任されている。」 「なら、良いか。」  ジャイの表情が、少し緩んだ。  キンギン鉱山の裏手、ゴミ置き場になっている場所に、巨大なコンテナが何台も並んでいる。  多分中身はゴミである。  キンギン鉱山の裏手、小高い丘の陰に車を置いて、丘の頂上で、ゴ・ノウが望遠鏡を覗き込んでいる。  そのゴ・ノウの周りに、ナッタ族の若者が座り込んでいる。全員が遊牧民風の衣装を身に着けて、キンギン鉱山へ出入りする、人物を観察していた。 「ジョウの奴、上手く入り込めたようだな。」  望遠鏡を覗きながら、ノウが誰に聞かせる風でなく、呟いた。  ゴ・ジョウは一人、キンギン鉱山に潜入した。いつの間に手に入れたのか、キンギン鉱山作業員の制服を身に着けて、一人サッサと鉱山の中に、入っていった。  鉱山の裏門に、何人か立っている。  顔つきからして、ナッタ族だろう。  念の為ノウが、護衛に雇ったナッタ族の若衆、タンに確認させた。 「あぁ、隣村のハランの家の奴だ。」 タンがそう謂う。 「ノウの兄貴、何時までここに居る?」  タンが、暇そうに言う。 「クウの兄貴が、戻ってくるのに3時間位だって言ってたから、あと2時間位かな?」  望遠鏡を覗きながら、タンの質問に答える。 「ジョウが戻らなくても、時間が来たら、一応車に戻って、……?」  其処まで言って、ノウの表情が険しくなった。 「アイツは、ジンだ!」  望遠鏡の倍率を、上げてみる。 「ヤッパリ、ジンだ。」  あのレストランで、散々度やしつけて、取り巻きを巻き込んで、そいつ等もボッコボコにしてやったが。  まだノウの中に、モヤモヤしたものが残っていた。 「でもアイツ、何のようだ?」  裏門から出入りする、と言うことは、先ず客じゃない。  服装からして、従業員でもなさそうだ。とすれば、怪しい仲間と、言うしかない。 「おい、タン。車に戻って、ダツを連れて来てくれ。」 ノウは、タンにそう言いながら、望遠鏡を覗き込むのをやめないでいた。  しばらくして、ダツがやって来て、 「ダンナ、何か?」 と、聞いてくる。  ノウは振り返ると、 「あそこに居るナッタ族に、話を着けられるか?」  そう言いながら、ダツに望遠鏡を手渡す。  ダツは望遠鏡を、覗き込んで、 「ダムズがいる。アイツには貸しがあるから、いろいろ話が聞ける。」 「ヨッシャ、一旦戻るぞ。」  そう言って、ノウは立ち上がった。  ノウ達が車に戻ると、ゴ・クウとジャイが既に戻っていた。  戻って来たノウを見つけると、ゴ・クウが、 「何か、有ったか?」 顔を見るなり、そう言ってきた。 「流石、兄貴!」 ノウは言うなり、あーだこーだとまくし立てた。 ノウの報告を聞いて、 「役者が揃い出したな。」  そう言って、全員に車に乗るように指示をした。 「後は、ジョウの報告次第だな。」  そう言いながら、車を走らせた。  先ずはダツが言う、ダムズがいる、ナッタ族の村へ。  ダムズが帰って来るまで、村に滞在しようか?と話していたら、その日のうちに帰ってきた。  ダツがダムズを捕まえて、ゴ・クウが聞きたいことを、ダムズから聞き出した。  キンギン鉱山に出入りをしていた男は、やはりジン・クレツだった。  そしてジンは、鉱山から出る廃棄物を引き取る仕事をしていると言う。 それを聞いて、ジャイ・アンフツの目が光る。 「あのジンが、そんな地味な仕事をしているのが、気に入らねえ。」  ダムズの村を後にし、ダツ達を村に戻し。ゴ・クウ達は鉱山からちょっと離れたオアシスの町、デムに宿をとった。  サウバを出るときに、落ち合う場所として、決めていたのだ。  其処でゴ・クウ達は、ゴ・ジョウの報告を待つことにした。  明け方近くになって、ゴ・クウ達が泊まっている宿に、ジョウがやって来た。 手に、見知らぬ花を一つ持って。 「鉱山の中で奴等、こんな花を育てていたよ。」  ジョウが持ってきたその花に、一番驚いたのが、ハン・クムであった。 「マウヨの花か!だいぶ前に滅んだと言われていたが、生き残っていたのか?」  その声に、その場にいた全員が注目した。 「マウヨ草って、確かマウヨパキタスの原材料だったよな。」 ジャイが、ポツリと言う。 「流石、軍事物資取り扱い責任者。」 ゴ・クウが、混ぜっ返す。  マウヨパキタスは、強力な覚醒剤である。どの国でも、軍または、国の強固な管理下に置かれている。  その用途は幅広く、医療用は言うに及ばず、軍隊の発憤剤。はたまた家畜用、雄の興奮剤。  特に、脳の加速効果は顕著で、ほんの1ミリグラムの服用で、脳内時計のクロック数が10%アップすると言う。  そのマウヨパキタスの主原料が、マウヨ草である。  ところが、そんな危なかっしい草が百年のくらい前に、自然界では絶滅した。  各国の研究機関が、資料用に栽培していた分を覗いて、絶滅したのであった。 「私の一族が、最初に覚えるのが、マウヨ草の扱い。」  そう言って、懐かしそうにマウヨ草を見るハン・クムであった。 「譲ちゃん、アンタ幾つだい?」  不思議そうな目で、クムを見つめるジャイ・アンフツが思わずもらす。  その言葉に、微笑みをだけ返してクムは、 「マウヨ草の栽培って、確か御法度のはずよな。クウ殿。」 と、ゴ・クウに話しを振ってきた。 「そうです。どこの国でも、御法度中の御法度。」 と、強い口調で、ゴ・クウが言う。  キンギン鉱山は、いよいよキナです臭い香りを纏い出した。 「明日早く、俺達はガロン研究所に向かう。塩の買付の件は、ジャイ頼むぜ。」 「おうよ!任せろ。」  ジャイの力強い声が、応じる。  いろいろ打ち合わせをして、各々の役割を確認。  今度のキンギン鉱山の件で、ジャイ・アンフツには、シャ・カ執政官から、特別専売特許が降りた。  今回の件に限り、仕入れた塩を、自由に売買出来る。  その条件で、今回のゴ・クウの作戦に、一枚噛んだのだ。特別でもなんでも、実績を作っちまえば、後は何とでもなる!  ジャイは、そう考えたのである。 「2日くらいで、戻るから。後のことは、治安軍との連絡を密に……。」 ジャイ・アンフツは、そう言いかけたゴ・クウを制して、 「皆まで言うナイ、古巣だぜ!」  そう言って、ニッと笑った。  デムの安宿の一室で、ゴ・兄弟が、静かに酒を飲んでいる。 もうとっくに昼を過ぎて、そろそろ日が隠れてしまう時刻である。 ゴ・ジョウが明け方近くに戻って、これからの行動を決めて、朝飯を食って、ジャイ達を見送り、一眠りしてから、最初の目的地ガロン研究所に、出発する準備を整える手筈であった。 ところが、眠れないのである。  ゴ・クウは勿論、ノウやジョウも、変に気が張っているのか、眠れないでいた。  仕方がないので、宿屋の調理場へ行って、酒と肴を調達。昼間っから、酒盛りを始めてしまっていた。  ただ3人とも、静かに酒を飲むのが好きらしく、各々酒杯を傾けながら、静にチビチビやっていた。 「よう、クウの兄貴よう。」 ノウが不意に、話しかけてきた。  ゴ・クウが、目だけをノウに向ける。 「キンギン鉱山なんか、うっちゃてて、良かったんじゃあないか?」 と言って、ゴ・クウを見た。  そのゴ・クウの目つきが、キッとキツくなる。 「いや、俺がシウの町で暴れて、馬を壊して、行動が遅くなったのは、悪いと思っているよ。」 それを聞いたゴ・クウは、目を伏せて、 「俺だって、早くガロン研究所に行きたかったさ。サウバでこの書類を受け取るまでは……。」 そう言いながら、ゴ・クウは懐から、封筒を取り出して、ノウに手渡した。封筒の封缶が、シャ・カ執政官の紋になっている。  ノウが封筒の中の、手紙を広げた。 「コイツは……?」 ノウの目が、点になる。 「シャ・カの旦那の、特別司令だ!」 曰く、キンギン鉱山を探れ! 「日時を指定してないから、いつでも良かったんだが、丁度ジャイ・アンフツと出会ったからな。」 「ジャイの兄貴には、悪かったんじゃないか?」 「なに、ジャイだって、塩の利権に絡めるんだ。」  どう言う結果になっても、損にはならない筈である。  コンコン!  ゴ・クウ達の部屋の、ドアが鳴った。 「開いてるよ、入んな。」 ゴ・クウがそう言うと、ドアが開いて、ハン・クムが入ってきた。
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