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藍奈の妊娠で、墓守の子だと噂が立った。
否定も肯定もせずに分家を出て、今に至る。
その後、分家で育てられた二人がどういう立場にいたか、定期的な藍奈からの連絡で知ってはいたが、会いには行かなかった。
首領の鴉攻は二人を墓守の子として育てていた。
会いに行けば肯定になる。
藍奈はそれを望まなかった。
「………すまないな」
黙り込んだ碧刃に要は声をかける。
「お前たちの事を忘れていた訳ではなかった」
きょとんとしていた碧刃の頬が薄っすらと染まり、隠すように顔を背けた。
「ええんや。母はんはあんたを悪う言うた事はなかった。事情があったんや思てます」
「事情があれど、放っておいたのは事実だ」
「今、来てくれたやないか。隣に居てくれてる。もうそれでええ」
「朱奈はそうは言わないな」
「あいつのは間違うた反抗期みたいなものやさかい、気にしいひんほうがええで」
間違えた反抗期とは良く言ったものだな、と思う。
真っ直ぐで感情的なところは藍奈に良く似ているし、火の能力者には多いタイプだ。
能力の特性は掴んでいるが、具現化の雑さは否めない。
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