第9話 策謀

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藍奈の妊娠で、墓守の子だと噂が立った。 否定も肯定もせずに分家を出て、今に至る。 その後、分家で育てられた二人がどういう立場にいたか、定期的な藍奈からの連絡で知ってはいたが、会いには行かなかった。 首領の鴉攻は二人を墓守の子として育てていた。 会いに行けば肯定になる。 藍奈はそれを望まなかった。 「………すまないな」 黙り込んだ碧刃に要は声をかける。 「お前たちの事を忘れていた訳ではなかった」 きょとんとしていた碧刃の頬が薄っすらと染まり、隠すように顔を背けた。 「ええんや。母はんはあんたを悪う言うた事はなかった。事情があったんや思てます」 「事情があれど、放っておいたのは事実だ」 「今、来てくれたやないか。隣に居てくれてる。もうそれでええ」 「朱奈はそうは言わないな」 「あいつのは間違うた反抗期みたいなものやさかい、気にしいひんほうがええで」 間違えた反抗期とは良く言ったものだな、と思う。 真っ直ぐで感情的なところは藍奈に良く似ているし、火の能力者には多いタイプだ。 能力の特性は掴んでいるが、具現化の雑さは否めない。
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