第9話 策謀

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「そないな事より、なんでわかったんや?」 好奇心か、負けず嫌いか、碧刃が真摯な眼差しを向けてきた。 「どこらへんから魂胆がばれとったん?」 「茶番が過ぎたな」 「は?まさか最初からなんて言わへんよな」 余りに必死な面持ちに自然と笑みが浮かんだ。 信号で停車し、助手席を見ると眉を寄せて碧刃が腕を組み考えこんでいた。 「そうなん?え?なんで??」 「その装束姿でどうやってあそこまで来たんだ?」 「そら車で……………ああ、そやな」 今日日(きょうび)、装束姿は流石に目立つ。 本当に急襲をかけるなら、日中は不利。 攻撃も虚仮威し、双子は能力の半分も出してはいなかった。 「朱奈のは特に目立つまくりやな。あ、そこ曲がったら真っ直ぐで到着やで」 車が動き出し、碧刃が道を指す。 「とりあえず今話したことは忘れろ。鴉攻の指示には従うほうがいい」 「ええで、俺はあんたの側につくし、どう思われても」 生真面目な、一点の曇りもなさそうな顔で碧刃が告げた。 純朴で素直な反面、そこに危うさもある。 「心象を悪くするな。お前はお前の分家での立場を守れ」 納得がいかず碧刃は思い詰めた表情で俯いた。 「お前一人の問題じゃない。朱奈も巻き添えになるんだ。己れの感情だけで動くなよ」 「了解や……」 すっかり悄然とする碧刃の横顔を見ていると何故なのか、久しぶりに会ったとは思えない親しみが込み上げる。 要は思わず碧刃の頭に手を置いた。 「次の信号で停まるから、葵を前に」
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