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「いくら魔法石で増幅しても、それだけ負荷がかかり本人に返る。
・・許容範囲を超えるってことは、それだけ死に近づくんだ。」
ゼオンはワタルの問いを、先回りして答えた。
許容範囲を超える・・?死に近づく・・・?
それだけ本人の体力も精神力も、削るってことなんだろうか?
だから彼女は立てない程、疲れ切っているのだろうか?
「だって・・使わなきゃ危なかったの。塔から落ちそうになって・・」
「落ちる原因を作ったのは、誰だ?」とゼオン。
「私。」とユウリィは悪びれる様子もない。
「だって・・私。心配だったの…ゼオンが早く来てくれないから」
一変して彼女は不安な声を出した。
ゼオンを見つめる彼女の眼は、すがるように彼を見ている。
彼は無動作に彼女を、抱きあげた。お姫様抱っこだ。
崩れたパレスの瓦礫の山の向こうに人垣が出来て、
粉塵と瓦礫を足元に超える様に、人々が動き出している。
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