その愛は嘘でした

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私は晴山君の事を、少しずつ好きになっていった。告白された当時は、興味本意でオッケーを出しただけだった。晴山君は真面目だから、私と付き合っているからといって、軽々しく私に手を出す事はしなかった。付き合って4年、高校生になっても、私達は学校が休みの日に、手を繋いで遊びに行ったり、時々一緒に図書館で勉強したりする日々を過ごしていた。晴山君は優しいから、成り行きで人助けをしている内にデートが潰れる事もあった。そんな男、つまんなくね?と友人に言われた事もあるけど、私は満足だった。だって、私と居る時の晴山君は幸せそうなんだもの。遊んでいる時も、勉強している時もいつも可愛い笑顔を見せてくれる。私がその笑顔を引き出している事、それだけで満足だった。私だったらキスの1つや2つしてほしいけどなーと、友人が机に肘を付き、スマホを弄りながら呟く。せめてあんたらいい加減名前で呼び合ったら?友人の提案に、私は顔を赤らめた。
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