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物心付いた時から、私は両親から異常に大事にされていた。誕生日やクリスマスには、大きなケーキやご馳走、いくつものプレゼントがあった。成績の事で叱られた事もなかった。どんなに悪い成績をとっても、次頑張れ!で済まされていた。流石に危険な悪戯をした時は叱られたりもしたけれど、必要以上にガミガミ怒鳴られた事はなかった。「彩ちゃんは可愛いねー。大好きだよー」等という言葉を、私は小さい頃から両親から聞かされて育ってきた。私は親から愛されている!幼かった私は心からそう信じていた。成長するにつれ、流石に「可愛いね!大好きだよ」とは徐々に言われなくなったけど、両親は変わらずに私を大事に育ててくれていた。虐待のニュースを目にする度に、こんな可哀想な子供も居るんだと胸が痛んだ。うちの親は私を理不尽に殴ったりしないし、ご飯も食べさせてくれる。ボロボロの服を着させられた事だってない。学校にも行かせてくれ、お小遣いも沢山くれる。だから、隣の谷家さんの事が私は嫌いだった。谷家さんはうちの家族に顔をしかめて、彩ちゃんは可哀想だねといつも言っていた。
可哀想?!どうして?理由を知りたくて、私が谷家さんに詰め寄ろうとすると、近所の他の人達が、彩ちゃんごめんねと言いながら谷家さんを私から遠ざけた。ご近所さん達が何を隠しているのか分からないまま、私は両親の愛情を一身に受けて成長していった。
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