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中学生になった私は、初めて男子に告白された。相手は同じクラスの真面目な委員長だった。悪い人ではないけれど、生真面目で面白くないし、イケメンでもないから恋愛対象にはならないよねと、女子には人気がない男子だった。だから、驚いた。晴山君にも人を好きになる気持ちがあったのかと。いつも1人で花壇の水やりをしたり、図書室で黙々と本を読んだりして過ごしている真面目な男子が、恋なんて。私は面食らったまま、晴山君を見詰めていた。
「川島さんが困るのも無理はないけど、僕は本気であなたの事が好きなんです。僕と交際して頂けませんか?」
そう言って彼は私に頭を下げた。
私は少し考えて、宜しくお願いしますと返事をした。この生真面目な男の子が、私とどんな恋愛をするのかちょっと興味が湧いたのだ。晴山君は、有難うございますと言って私に手を差しのべた。これから宜しくお願いしますと言う彼に、私はこちらこそと言いながら彼の手を握り、握手した。
13歳、夕日が射し込む放課後の教室で、私は最初で最後の恋人が出来た。
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