その愛は嘘でした

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彼氏が出来た事を、その日のうちに両親に伝えると、2人とも凄く喜んでくれた。 「彩ちゃんやるぅ~!今度うちに連れて来なさいよ、最高のおもてなしで迎えてあげる。ヒューヒュー!」 夕御飯の肉じゃがを皿に盛りながら、お母さんは私を冷やかす。 「じゃあ、彩も料理を覚えなきゃな。今のうちに彼氏の胃袋掴んでおいて、嫁に貰ってもらえ」 「いやいや、お父さん!嫁とかまだ早いから!てか冷やかさないでよ2人とも!」 私は肉じゃがを食卓に運びながら2人を(たしな)める。 「だってー、おめでたいじゃない。今日は赤飯の方が良かったかな?」 お母さん!!と軽く怒りながら味噌汁を盛って食卓に運び、私は席に着く。全く、うちの親は…恋愛脳かよ。ご飯も盛られて運ばれて来たので、いつもの様に家族で色々話をしながら食事が始まった。お父さんの仕事での失敗話には、笑って味噌汁を吹き出してしまった。うちの食卓はいつも暖かい。私はこの時間がとてもいとおしくて大好きだった。今となっては、遠い思い出だけど…。 晴山君を家に招待して、一緒に夕御飯を食べたのは、中学2年の冬だった。初めて私1人で鍋料理を作って、家族と彼氏に振る舞ったのだ。鍋くらい簡単に…と思っていたけど、複数の食材を切るだけでも、少し面倒臭く感じた。魚のすり身を丸めてツミレを作ったら、とても不細工なツミレになった。お母さんみたいにはいかないなと軽く落ち込む私に、晴山君は美味しいよ!と励ましてくれた。 「川島さんの料理、とても美味しいよ!僕はこんなに素晴らしい料理を頂けて幸せだよ」 「晴山君、褒められ過ぎるのも逆に恥ずかしいんだけど…」 両親はこんな私達をニヤニヤ笑いながら見守っていた。今はもう、遠くて辛い思い出…。
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