生還者

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火災旋風である。 火災旋風とは、火炎と火の粉を含んだ竜巻のことで、炎を含んだ火柱状のものと、炎を含まない渦状のものがある。火災旋風は1000℃を超え、風速100メートル/秒で発生する。この時発生した火災旋風はこの本所被服廠跡地にも吹いて、あらゆる人やモノを巻き上げ、幸運にも隅田川の方へ進んでいった。よってこの風に巻き上げられた人で隅田川に投げ出された人が奇跡の生還をすることになった。 火災旋風の原因は、当日の天気の要素が大きい。能登半島沖に台風があって折しも東京にも10m以上の強風が吹いていたため、火災が広まった可能性が強く、それが火災旋風となって広場に押し寄せた、ということである。  現在、この地は都立横網(よこあみ)町公園となっていて、園内には慰霊堂と三重塔そして復興記念館がある。慰霊堂にはのちの東京大空襲の身元不明死者も合祀されている。またこの震災で朝鮮人の住民が略奪・襲撃をおこしているという嘘の情報が流れたため一部の朝鮮人が殺害させられた、という悲しい事実もあり、その慰霊のための石碑も建てられている。
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