私の家族

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「私…学校行ってくる。 手伝うにしても夜でしょ? 夕方には帰ってくるんだし 別に構わないでしょ?」 今すぐこの場から逃げたい一心で そそくさと家を出ようとすると 「雨里…お父さんも今日は 仕事を休むからお前も休むんだ。 意味のない学校なんて行っても 無駄だろう。 雨里にはやってもらいたい事が あるんだよ」 父は私の腕を掴み 睨みつけてきた。 「隣の駅のホームセンターで 頑丈そうなロープと肉切り包丁と ノコギリ…買ってきてくれ。 お前が買うならきっと… 怪しまれないからな…」 そう言うと、震える私の手を握り 1万円札を渡してきた。 「これで買えるはずだから。 余ったお金で 何か玩具でも買ってくれ」 不気味な笑顔で私に微笑むと 「もし買って来なかったら… 逃げたりでもしたら… 分かってるよな?」 そう言ってリビングへ行った。 全身の力が抜けたように 私は玄関で崩れ落ちた。 本気だ… 本気でやる気なんだ… もし私が逃げたりしたら きっと…あそこに… 考えただけで血の気が引く。 私が小さい頃に 言う事を聞かなかった罰として 1週間閉じ込めたあの場所… またあの場所に閉じ込める気だ… 幼かった頃の私の記憶が鮮明に蘇る。 あそこは絶対に嫌だ… 怖い…助けて… 私は頭を抱え込み 震える体を必死に抑えた。 そして、落ち着いた私は ゆっくり立ち上がり 玄関のドアを開けた。 もう…やるしかない。 逃げる事も戦う事も出来ない私に 今やるべき事は決まっていた。 ホームセンターに…行こう。
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