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「鳩が死んでいるぅ」
僕とすれ違う時、男の子がまた叫んだ。見たありのままを言葉にする。彼がどのような感情を持って、その言葉を発しているのかは読めない。
「やめなさい。そんなもの見ないで。気持ち悪い」
母親が子供を叱りつけるように発した一言に、思わず僕は振り返った。
「気持ち悪い」んだ。「かわいそう」じゃなくて?
僕は遠ざかっていく、親子の後ろ姿を見つめた。視界の端には、かわいそうな鳩の亡骸も映り込んでいた。
「鳩の死骸を見つけたら、どうすればいいのかな?」
月曜日のお昼時、大学構内のカフェテラスは生徒たちでごった返している。ガラス張りのテラス内は、明るい午後の日差しを受けて、床にいくつもの光の影を作っていた。白い丸テーブルを囲むように椅子が並ぶ。丁度、窓際に空席を見つけた僕たちは、学食の乗った若葉色のお盆を手に、席に着いた。
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