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 僕こと、冴木璃空(さえきりく)は、この春で大学一年生になった。四月生まれなので、つい最近、十九歳になったばかりだ。大学入学を機に、実家のある栃木から上京し、今は大学の近くにアパートを借り、一人暮らしをしている。入学してから一か月ほど経ち、ようやく新しい生活に慣れてきた頃だった。 目の前でカツ丼を食べている長田とは、入学式の時に仲良くなった。同じ学部で専攻科目も被っている授業が多く、そして彼も僕と同じように、田舎から出て来た上京組なので、お互いに親近感が湧いたのだ。出会ったその日に一緒にカラオケに行く程、一気に距離が縮まった。きっとお互い、知らない土地での新生活に不安だった所に、見つけた同士なのだ。長田がいることで、僕はだいぶ新しい生活に対する不安を払拭することが出来た。 「うーす、おはよう」  背中越しに声を掛けられ、振り返った。同じ学部の同級生、越谷来夢(こしたにらいむ)だ。 「おはようじゃねぇよ、もう昼だぞ」  長田は間髪いれずにツッコミを入れる。顎の辺りに米粒が付いている。越谷は長田の言葉を無視して、僕の左隣の席に腰を下ろした。越谷が動くたびに、男が付けるには少し甘すぎる香水が漂う。僕は越谷が好むこの人工的な香りが苦手だった。

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