4章 いつか来た道

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 記憶を頼りに車を走らせて、パンとおにぎりの朝食をもらった場所を過ぎる。 さらにしばらく走ると、いよいよ男子高生の憧れの女子高前だ。 「ここだよ。」 と美咲ちゃんに声をかけると、 「ふーん、ここが裕也君が馬跳びした女子高前ね。」 と目を細めて笑った。 「僕はしてないよ。」 「あら、そうなの?  すれば良かったのに。」 と、笑いを噛み殺したような口調で美咲ちゃんは言う。 「あの頃、僕らはホントに馬鹿で、普段から女子高の前を自転車で通るだけで、ドキドキしてたな。 今日は心拍数上がってないから、少しは成長したのかな。」 「ハハハ、そうかもね。」 「ここからもう後数キロで、ゴールの僕らの学校なんだけれど、ここからが本当に辛いんだ。 なんせ、女子高前で気力と体力を使い果たしているからね。」 「ガンバレ、高校時代の裕也くん。」 「ああ、高校時代に今みたいに名前を呼んで応援してもらいたかったな。 たまに、女子高生から名前呼ばれて応援されてる奴もいて、めちゃくちゃ羨ましかった。」 「裕也くん、ガンバレ。 裕也くん、もう少し。」 「もう遅いけど、それでも嬉しい。 次の信号を曲がったら、ゴールの僕らの学校が見えるよ。」
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