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記憶を頼りに車を走らせて、パンとおにぎりの朝食をもらった場所を過ぎる。
さらにしばらく走ると、いよいよ男子高生の憧れの女子高前だ。
「ここだよ。」
と美咲ちゃんに声をかけると、
「ふーん、ここが裕也君が馬跳びした女子高前ね。」
と目を細めて笑った。
「僕はしてないよ。」
「あら、そうなの?
すれば良かったのに。」
と、笑いを噛み殺したような口調で美咲ちゃんは言う。
「あの頃、僕らはホントに馬鹿で、普段から女子高の前を自転車で通るだけで、ドキドキしてたな。
今日は心拍数上がってないから、少しは成長したのかな。」
「ハハハ、そうかもね。」
「ここからもう後数キロで、ゴールの僕らの学校なんだけれど、ここからが本当に辛いんだ。
なんせ、女子高前で気力と体力を使い果たしているからね。」
「ガンバレ、高校時代の裕也くん。」
「ああ、高校時代に今みたいに名前を呼んで応援してもらいたかったな。
たまに、女子高生から名前呼ばれて応援されてる奴もいて、めちゃくちゃ羨ましかった。」
「裕也くん、ガンバレ。
裕也くん、もう少し。」
「もう遅いけど、それでも嬉しい。
次の信号を曲がったら、ゴールの僕らの学校が見えるよ。」
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