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大山参道横の駐車場に車を停め、美咲ちゃんと連れ立って、墓地に続く大山参道を歩く。
両側には楓が植わっていて、今の季節は新緑が美しい。
「ステキ、きれいな緑ね。」
美咲ちゃんは、楓の木を見上げて何度も言う。
「本当にきれいね。
紅葉もきれいだけれど、新緑もいいね。
この奥に大山夫妻のお墓があるのね。」
参道を奥まで歩くと、突き当りにいかめしい扉があった。
扉の向こうに大山夫妻のお墓があるらしい。
美咲ちゃんは、そっと両手を合わせて目をつぶったので、僕も同じように手を合わせた。
それから、美咲ちゃんと並んで歩いて参道を戻ると、やっぱり今日もいた。
「美咲ちゃん、向こうに高校生のカップルがいるでしょ。
あの制服は、この近くの共学の高校の制服で、僕らの時代にもカップルが歩いていたんだ。
僕らは宿題の課題に追われて、でかい鞄持った冴えない高校生だったから、
この辺りをカップルで歩く共学の奴らを見かけると悔しくて、クソッ、クソッと言いながら自転車こいでたな。」
「裕也君はホント愉快な高校生だったんだね。」
「愉快? 哀れな高校生だったよ。
だけど、今日は美咲ちゃんと大山参道を歩けたから、高校時代のリベンジが出来た。
わーい!リベンジだ。
美咲ちゃん、ありがとう。」
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