5章 イタリアンレストラン

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 それから僕はRV車を走らせ、イタリアンレストランの駐車場に車を入れた。 けっこう混んでいる。 大山参道の駐車場から、予約の電話をしておいて良かった。 店に入って名前を告げると、すぐに席に案内される。 「美咲ちゃんは、東京で素敵なレストランにたくさん行ってるだろうね。」 「そんなこともないよぉ。 ここのところずっと忙しかったし、コンビニに頼った生活しています。」 「そうなの、そりゃ大変だ。」  アルバイトのウエイターがメニューと一緒に、お水のグラスとおしぼりを持って来た。 テーブルの隅に2つ並べて置かれて、ちょっと恥ずかしい。 僕は車を運転するからワインを飲めないけど、美咲ちゃんには薦めてみる。 美咲ちゃんは笑って首を横に振り、テーブルの隅に2つ並んだグラスの1つを 僕の前に置き、もう1つに口をつける。 「お水も東京より美味しい気がする。」 それから僕らは、違う種類のパスタセットを注文して、前菜の後に運ばれてきたお互いのパスタを小皿に分け合い、味見しながら食べる。 卒業してから今までのこと、今の仕事のこと、いろいろ話した。 美咲ちゃんは良く笑い、学生時代に戻ったみたいな気がする。 最後のデザートは、美咲ちゃんは迷って迷ってプリンにしたけれど、僕が選んだガトーショコラも食べたそうにしたので、シェアした。 コーヒーを飲み終え、席を立つ。 美咲ちゃんは割り勘を申し出てくれたけど、ここは僕に払わせて。
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