3章 再会

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3章 再会

 旧青木別邸を出て、杉並木の脇にあるカフェのある建物に入る。 屋外のテラスでも、お茶や簡単な食事ができそうだ。 カウンターでドリアセットを注文して会計をし、ふと数メートル先に立っている人の横顔に目が止まった。 ‐えっ? その人がカレーセットを注文する声に驚いた。 ‐もしかして、Y?  「裕也くん?」 思わず、声が出てしまった。 振り返った彼も、驚いた表情で言う。 「えっ、もしかして、美咲ちゃん? えっ、なんで? 1人?」 私の周りを見回して、Yが聞いた。 「ええ、そう、1人よ。 昨日テレビニュースで青木別邸を見て、菜の花がとても綺麗だったから、今朝の新幹線で見に来ちゃった。」 「そうなんだぁ、昨日のテレビニュースでやってたらしいね。 そういえば、美咲ちゃん、昔から黄色が好きだったよね。」 ‐Yは私の好きな色を覚えているらしい。 「美咲ちゃん、1人なら、もしよかったらだけど、一緒に座って食べない?」 「ええ、もちろん。裕也くん、懐かしい。」 Yはこのカフェによく来るようで、スタスタと前を歩いて私をテラス席に案内してくれた。
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