時をかける少年

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「君の言う事を聞かないなんて、そんな大人がいるのか?うーん、お父さんのお父さんとお母さんでしょう?」 おじさんが言うと、 「ううん、両方とも。両方のおじいちゃんとおばあちゃんは僕の考えなんて聞かない。子供のくせにっていうの。だから今日はとても楽しかったです。みんな僕の考えを聞いてくれたから。とても楽しかったです。ありがとうございました。僕行かないと。」 「あっ待って、あなたの名前は?」 「僕の名前は???、みなとです。」 (なんて言ったの?聞こえなかった。) 男の子はスーッといなくなって、いくら探してもどこにもいなかった。 独身時代の富士子の体験だ。 富士子は結婚して妊娠した。お腹の子供が男の子だとわかった時に名前をみなとちゃんと付ける事に迷いはなかった。 自分の子供が3歳になった時のクリスマスパーティーで同じ場面に遭遇した。 隣で喋ってる息子を見つめて富士子は、息を吐くのを忘れて見つめたのを今でもはっきりと覚えている。
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