時をかける少年

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「最後の晩餐は何が良い?僕はこんな冷たい料理は嫌だな。やっぱり分厚いステーキかな。ねぇ、何が良い?」 前菜が冷たい事にこだわる社長さんが右隣の人に明るく聞いた。 「そうね僕も肉かな。君は?」 「僕は魚料理が好きだから刺身かな。」 「肉も魚も両方食べたい。」 「最後の晩餐は迷うよね。何が良いかな。坊やはどうだい?」 又テーブルの大人全員が男の子を見つめる。 「僕生まれた時から重い心臓病だから赤ちゃんの時から病院に居たの。子供達が亡くなって行くのを沢山見たよ。みんな最後は何も食べられないよ。 僕、今日が最後っていう日にパパとママが側にいてくれて口から何か食べ物が食べられるなら、こんなご馳走じゃなくても良い。こんなに凄いご馳走は多分喉を通らないよ。何でも良い。 パパとママが側にいてくれて、もしも何か口から食べられたら僕は凄い幸せだと思うと思うんだよ。」 男の子は自分の目の前の皿の上の料理を両手で指刺しながら静かに話した。
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