時をかける少年

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「こんばんは。ここ良いですか?」 小さな男の子が富士子の隣の席を指差している。 「はい、どうぞ。」 椅子を引いて座るのを手伝って富士子は今、持って来たばかりの料理を勧める。 「こっちは手を付けてないからどうぞ召し上がれ。」 「いいんですか?」 「どうぞ。いくらでもありますから。」 新しいお箸を渡すと男の子はパプリカのマリネを食べた。 年に一度のクリスマスパーティーに富士子は家族と来ていた。両親は乾杯の音頭があるとすぐに挨拶に回り出して側に居ない。円卓の同じテーブルには富士子の父親と同じ社長さん達が5人座っている。なぜか家族は誰も来ていなくて、おじさん達がワイワイと楽しそうにしてる。 「お嬢様は二十歳でしたっけ。」 毎年会うけど名前を知らない社長さんが富士子に尋ねる。 「今年19になります。」 「若ーい。」 おじさん達と隣の男の子が声を上げる。
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